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 客室にいると時間のたつのも忘れて、日頃の疲れから開放される。遠くまで出かけてきたわけでもなければ仕事でもない。何もしないためにやって来るのに、これほど快適な場所はそんなに多くはないだろう。デスクの前に座ってホテルディレクトリを眺めていると、この次にはどこのリッツカールトンへ行こうかなと夢中になってしまう。
ロビーラウンジでのアフターヌーンティーもこのホテルでの楽しみのひとつである。3段に重ねられたプレートには、スコーン、サンドイッチ、ケーキと伝統的な英国式アフターヌーンティーの形式を伝えている。クラブラウンジではリチャード・ジノリのイタリアンフルーツが使われているが、ここロビーラウンジではウェッジウッドのティーポットとカップ&ソーサーでサービスされる。ティーにはダージリン、アッサム、セイロンなどのオーソドックスな紅茶の他、白茶、緑茶、青茶などの中国茶を注文することもできる。毎日演奏されるピアノやクラリネットの生演奏に耳を傾けながらのティータイム。訪れたゲストががっかりしたという話を聞くことはない。
ゴージャスな気分の続きは再びクラブラウンジで。1日を5回に分けたラウンジのサービスは、その時間ごとの「こんな風に過ごしたい」気持ちをすべて知り尽くしているかのようだ。「おかえりなさい」とクラブコンシェルジェに迎えられ、テーブルの前に腰をかけると、そこは本当に我が家に帰ってきたような安心した気分にひたることができる場所になる。自分にとっての大切な時間が過ぎていくことをからだ中に感じながら、1日が終わろうとしている。丁寧にターンダウンされたベッドに横たわり、明日のブレックファーストのメニューについて考えていると、そこに自然と瞼の重みに耐えかねる自分の姿を見ることだろう。 |
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